分からない、分かろうとしない、分かりたくない



こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです、



わたしの外来に

来てくださっている

大学生がいます。

(特定されないよう配慮しています。)



その方と出会ったのは

約一年前です。


始めは元気がありませんでした。



しかし、

最近はバイトもして元気そう。



今日の外来で


「大学をやめたい。」

「前からずっと思っていた。」

「親に言ったら反対された。」


と言われました。



わたしは

「なんでやめたいんですか?」

と聞いてみました。



そしたら彼女はフリーズ。



「…なんでやめたいんだろう。

ゼミが嫌だからかな、うーん。」

となりました。




「自分がどうしたいのか。」

「それはなぜのか。」

を考えることは、

今後の人生の選択において

重要です。



彼女には


・大学をやめたい理由

・大学を卒業したときの

メリットデメリット

・退学したときの

メリットデメリット


を次までに

考えてもらうことにしました。




「彼女がどうしたいか。」

ここをベースに

今後の方針を一緒に決めれたらいいな

と思ったからです。




そして1か月後の再診日。

今まで一度たりとも

来院しなかったことはない彼女が、

来ませんでした。



連絡もありません。



わたしは不安になりました。



「宿題を出したのが

重荷だったのかもしれない。」


「もしかしたらわたしの言葉が

傷つけたのかもしれない。」




そう思うと、

「これ言っていいのかな…」

「この言葉は

相手を傷つけるかもしれない。」

と考え、

他の方の外来にも

影響が出ました。



考えすぎて話せません。

苦しい。





耐えられなくなって

上司に相談しました。



彼女の背景を

上司に説明します。

宿題を出したら

来院しなくなったと伝えました。



上司は

「その方って真面目?」

と聞きました。



「そうです。とても真面目です。」

わたしは肯定します。




上司は言います。


「宿題ができなくて

合わす顔が

なかったのかもしれないね。


その方って20代前半でしょ?

思春期の延長線上の年齢って、

まだ自分が何をしたいのか

分からないよ。


しかもね、

分かろうとしないの。

分かりたくないの。」



わたしは驚きました。

分かりたくないってどういうこと?




長くなりそうなので

続きは明日にします。







精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

精神科医のわたしが日々の思ったこと、感じたことを書いています。

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