痛みで思考を止める方たち
こんにちは、
精神科医の諸藤えみりです。
わたしの外来に
リストカットをする
女の子たちがいます。
彼女たちから
「切ってしまいました。」
と申告を受けても
わたしは怒りません。
なぜなら、
リストカットは
自分を傷つけることで
嫌な感情を対処しているからです。
わたしたちはストレスを受けると
さまざまな方法で発散します。
愚痴ったり、カラオケに行ったり、
運動してスッキリしたり。
はたまた物にあたる人も
いるかもしれません。
彼女たちにとって
それがリストカットなのです。
人を信用できず、
嫌な感情を言葉で伝えれない。
物にもあたれない。
自分の体をつかって発散する。
リストカットをすると
痛みが出ます。
痛みがあると
嫌な感情を一瞬考えなくてすみます。
生きている実感を得る方もいます。
自分を守る手段なのです。
痛みとともに
生きている彼女たちを見ると
わたしは
怒ることなんてできない。
だからといって
「切っていいよ。」
と容認もできない。
彼女たちの
つらさ、苦しみに寄り添う。
「切らないでほしい。」
とわたしの気持ちを伝え、
切る以外の方法を一緒に考えています。
一度でリストカットがなくなる方は
なかなかいません。
「ごめんなさい、
止められていたのに
また切ってしまいました。」
と、言う方が多いです。
やったらいけないのは
分かっている。
でも、やってしまう。
わたしは
彼女たちの気持ちを受け止め、
リストカットしてしまった出来事や
そのときの感情を
話してもらっています。
言語化して
人に伝えるという作業が
大事だからです。
過去にリストカットをし
腕に傷跡があっても、
看護師として
働いている知り合いがいます。
その方からは
乗り越えた強さを感じます。
自傷を過去にしています。
「今はつらいかもしれないけれど、
その看護師さんのように
リストカットから
卒業できたらいいね。」
という気持ちで
彼女たちに接しています。
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