息を吸う、ご飯を食べる、眠る



​こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです。



外来に

消えてなくなりたい気持ちで

訪れる方がいます。


消えてなくなりたい気持ちを

教えてくれたのならば、

わたしは少し安心します。



なぜなら、

本当にこの世から

いなくなってしまう人は

誰にも相談せず

完遂してしまうからです。




「消えてなくなりたい。」

は、

「もっとよりよく生きたい。」

だとわたしは考えます。



生きたいから、

助けてほしいから、

消えてなくなりたい気持ちを

教えてくれる。


気持ちを言葉にして

伝えてくれる。




わたしは話を聞き、

気持ちを受け止めます。


そして、

必ず最後に聞くことがあります。


「つらい気持ちを教えてくれて

ありがとうございます。


でも

どんなにつらくても

自分を傷つけることは

しないでほしいです。


危ないことをしないと

わたしと約束してくれますか?」



約束できるかどうかが

1番の重要ポイントです。


約束できると

「先生と約束したから。」

と、踏みとどまってくれます。


わたしは

約束できるまで粘ります。






今、

人生のどん底にいて

助けを求められない方も

いらっしゃるかもしれません。


誰にもこの気持ちを言えない。

希望もない。




そんなときは

つらい感情を何とかしようと

足掻かないことです。


感情をなくそうとしない。

感情の中に身を置く。

耐える。



「つらいなぁ。」

「悲しいなぁ。」

と、ただ感じる。


海の底に沈む物言わぬ貝のように

じっとしている。




じっとしていると、

たまにフッと

「生きてもいいかな」と

浮き上がるときがあります。



でもまた落ちる。

「やっぱりダメだ」となる。

この繰り返し。


行ったり来たりをしながらも、

最後には浮き上がる。

そのときを待つ。





「神様はなぜわたしに

試練を与えたのだろう。」

と、思うかもしれません。


試練もいつか終わります。

この状況が一生続くと思うから

絶望するのです。




終わりは見えない。

でも

終わりは必ずやってくる。

今はただの通過点。




だから今できることをする。

息を吸うこと、

食べること、

眠ること。



安心して

これだけをやればいい。


暗いトンネルを抜ける日まで。





精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

精神科医のわたしが日々の思ったこと、感じたことを書いています。

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