病院をケアに使う



こんにちは、

ドクターかよです。



「病院をこんな風に使うのもいいな」

と思ったので、

忘れないようにメモ。




私はこれまで

病院は

悪いところを治す場所だと

思っていました。



たとえば、

気持ちが落ち込んで

何もする気が起きない。

ストレスで夜眠れない。

不安が強くて日常生活に支障が出る。


このような症状が出たら

病院を受診し

治療を受ける。


治ったら受診は終わり。



こんな風に考えていました。





私の外来には

10代、20代の方も来られています。



その中に

交際相手関連で

トラブルの多い方がいます。


今は交際相手と別れ

落ち着かれました。



仕事に行っていて、友人もいる。

病院に来る必要がないくらい

元気になりました。




私の病院はクリニックではなく、

精神科単科病院です。

入院病床もあります。



「精神科病院に通っていると

世間の目が気にならないかな?

病院は早く卒業した方がいい。」

と考えました。



「元気になられたので、

一度終診にしますか?

また困ったときの

受診でもいいですよ。」

と、提案しました。



しかし、その方は

「病院とは繋がっておきたい。」

と言うのです。



完全に病院に来なくなるのは

不安とのこと。



後でお母さんから話を聞くと

「あの子、

先生に会いたいみたいです。

安心するみたいですよ。」


と言われていました。




ほかの方にも

終診を提案したことがあります。


10代の方です。

うつ病で不安が強かったのですが、

今は元気です。



学業に専念でき、

空いた時間にバイトをするくらいまで

回復しました。



この方も

「病院に行きたい。」

と言われます。



「精神科に抵抗はない。


風邪をひいて

内科にかかるのと一緒の感覚。


症状が悪くなってから

病院に行くのではなく、

悪くならないために

病院に通いたい。」




この方のお話を聞いて、

なるほどなぁと思いました。


この方が言われているのは

メンタルケアなんです。



悪くならないために病院を利用する。

この発想は

私にありませんでした。




病気も

「早期発見・早期治療」

と言いますよね。


メンタルでそれをしてもいいなと

考えました。




メンタルケアの視点で通院する方は

若い世代に多い印象です。



精神科の敷居が下がり

誰でも簡単に

受診するようになりました。


このことが

関係しているかもしれません。



3,40代の方は

終診を喜ぶ方が多いかなぁ。



ただ、

精神科に偏見がまだあるのは

事実です。




精神科病院が

彼らのマイナスにならないよう、

主治医として

通院、終診のタイミングを

考えないといけないなと

思いました。








精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

精神科医のわたしが日々の思ったこと、感じたことを書いています。

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