この世はネバーランドじゃないから
こんにちは、
精神科医の諸藤えみりです。
今日は
「子供から
つらいこと・悲しいことを
すべて取り払い、
真綿に包んで
育てることはできない。
じゃあ親は
どうしたらいい?」
というお話をします。
結論を言うと、
親のやることは
「お子さんに
何かつらいことがあっても
もう一度立ち上がれる心の育成」
だと私は思います。
高校生の方が
外来に来られています。
(特定されないよう配慮しています。)
0か100かの思考が強く、
曖昧さを許せません。
同級生のささいな一言を
引きずってしまいます。
私の年齢になれば
大したことない一言も
10代の高校生にとっては
一大事です。
お母さんは
「つらそうな子供を
見るのがしんどい。」
と言われます。
私は言います。
「お子さんが
傷ついている姿を見るのは
しんどいと思います。
でも
可哀想だからと言って
お子さんから
つらいこと悲しいことを
すべて取り払い、
真綿に包んで育てることが
私は正解だとは思いません。
親がすることは
子供が家に帰ったときに
安心して過ごせる環境を
作ることだと思うんです。
外に出れば
つらいことも悲しいことも
ありますよ。
家に帰ったら
安心して
等身大の自分でいられる。
傷を癒して
また外に出る。
この繰り返しだと思うんです。
高校は
本人が希望したんですよね?
学校が本当に無理になったのなら
逃げればいいと思いますが、
今は応援しましょうよ。」
お母さんは
ハッとしたお顔になり
「そうですね。
家で本人が安心して過ごせるよう、
サポートしたいと思います。」
と、言われました。
この世が
悲しみも苦しみもない
ネバーランドだったらいいけれど、
残念ながらそうじゃない。
嬉しいこと、楽しいこと、
悲しいこと、つらいこと、
いろんなことが起きる。
親がやることは
子供から
悲しみや苦しみを
取りのぞくことではなく、
何かつらいことがあっても
もう一度立ち上がれる
心の育成だと私は思うんです。
実際に診察していると、
家の基盤が
しっかりしているお子さんは
しんどいことがあっても
立ち上がります。
「何があっても親は
自分の味方になってくれる。」
という
安心感があるからだろうなと
思います。
子供に安心を与えるには
お母さん自身も
安心することが大切です。
お母さんの安定
→家の安定
→お子さんの安定
と連鎖していくからです。
肝っ玉母ちゃんみたいに
どっしり構えるのが
いいのかもしれませんね笑
子供に
どんなことがあっても
また立ち上がれると信じる。
それが最終的に
「生きていればどうにでもなる」
「生きていればいい」
に繋がるのかなとも思います。
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