関係を作って、壊れて、そこから見えてくるもの
こんにちは、
精神科医の諸藤えみりです。
10代、20代の方が
同性の友人(もしくは交際相手)と
親密な関係になり、
依存し合い、
2人の世界を作る。
そして
2人の世界の破綻を
経験することは
非常に大切です。
なぜなら
その経験を通して
人との距離感が分かり、
自分の輪郭が
クリアになるからです。
昔、
親友と呼べる友人は
いましたか?
交際相手でもいいです。
「この人さえいれば
あとは何もいらない!」
という関係性です。
私は学生時代の交際相手が
そうですね。
(遠い目)
学校を想像してください。
分かりやすいのは
いつもベッタリ一緒にいる
女子2人組。
遊ぶのも
トイレに行くのも
持ち物も一緒。
2人で
世界が完結しているのです。
このような関係性は
長続きしません。
相手を自分の中に
取り込んでしまうからです。
(図としては
このようなイメージ。)
相手との距離が近すぎると
・相手の言動が気になり見張る。
(例:会えないと不安で
「何してたの?」と聞く。)
・相手が少しでも
自分と異なると腹が立つ。
(例:自分の意見と違う。
同じ感情ではない。)
・相手がほかの人と
仲良くするのを許せない。
など、相手を自分のもののように
扱ってしまい
関係性は破綻します。
実はこれ、
思春期で重要な経験です。
破綻するところまでが
ワンセット。
なぜなら
破綻することで
他者との距離感を
掴めるからです。
近すぎず、
遠すぎず。
呼吸がしやすい距離感。
「私は私」
「相手は相手」
と、お互いを
尊重できるようになります。
自分の輪郭が
クリアになるのです。
輪郭がクリアになるとは
自分のいいところも悪いところも
分かるようになるということ。
「私」が分かる。
自分を知ることで
相手と健康的な関係を
築けるようになります。
最近は
SNSでの交流が増え、
人と深い関係性になることが
減ったように感じます。
深く交流すると
関係性が壊れたときに
心に痛みが出る。
身を引き裂かれるくらい
つらい。
「だったら
深い関係に最初からならない。」
と、避けるのです。
浅い関係を繰り返す。
傷つかないけれど
繋がりも感じない。
SNSでの交流でも
人との付き合い方を学ぶことは
できますが、
生身の体験には劣ります。
吹き荒れる嵐の中に
一度身を置くのも悪くない
と私は思います。
外来の10代、20代の方から
「彼氏ができた。」
「SNS上だけど友達ができた。」
と、聞くとすごく嬉しい。
人と関わるがゆえに
痛みを感じることもあるけれど、
経験した分だけ
心は育ちます。
そしてそれは
30代、40代と年齢を重ねても同じ。
遅すぎることはありません。
私たちは
心を育てないといけない。
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