1人でやっていけないから媚びる
こんにちは、
精神科医の諸藤えみりです。
「わたし1人では無理です。」
このセリフ、
外来でよく聞きます。
自分1人では生活できないから
夫と暮らす。
自分1人では〇〇できないから
〇〇する。
よく分かります、
過去のわたしもそうだったから。
今日は
わたしが自分の足で
立てるようになった話です。
過去のわたしは
1人で医師として働くのは
無理だと思い、
上司たちに媚びてました。
医師として働き始めたころです。
経験も少ないから
分からないことが多いです。
周りは優秀な医師たち。
他人と比較し、
わたしは医師として劣っている
と思っていました。
「1人で診療するのは無理。
上司たちの
手厚いサポートがないと
医師としてやっていけない」
と、信じていました。
誰かわたしを支えてほしい。
だから媚びる。
自分が有利になるために。
教授や準教授に気に入られれば
助けてもらえる。
僻地にも飛ばされない。
他の医師が
わたしを何とかしてくれると
信じていました。
休職して愕然としました。
他人の機嫌ばかりとってきた
結果がコレ。
今後もずっと
人の顔色を伺いながら
生きるなんて嫌だ。
誰かに依存しないと
生きていけない自分が嫌だ。
目が覚めました。
1人でやっていく自信がないから
教授や準教授に媚びる。
だったら
自信をつければいい。
復帰してからは必死でした。
尊敬する上司の外来を見学する。
上司の後ろから
舐めるように診察を観察する。
真似る。
精神医学を勉強し直す。
自分も診察をして場数を踏む。
難しい症例を担当する。
上手くいかないときもあります。
でも、
「これだけやった」
という自負があるから
自信が持てました。
今はたとえ
教授に嫌われ僻地に飛ばされても、
頼れる上司がいなくても、
1人でやっていけます。
昔の私は、
「どうせ自分はダメだから」
と最初から諦めていました。
甘えていました。
本気じゃないから
できるようにならない。
努力をせず、
外部の力で何とかしようとしました。
そりゃダメなはずだわ。
外来で
「自分の力では無理です。」
と言う方に対面するたびに、
わたしの心はザワザワする。
わたしが乗り越えられた課題だから
目の前の方にも
「できるよ。」と言いたくなる。
「無理だと思う気持ちは分かるよ。」
「でも、あなたはできると思うよ。」
と、言いたい。
頑張ることを強要しそうになる。
自分の足で立つには覚悟がいる。
人には人のタイミングがある。
わたしはたまたま
休職がタイミングだった。
目の前の方には
タイミングが来ていないだけ
かもしれない。
わたしがタイミングを
押し付けてはいけない。
その人が本気になるのを待っている。
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