良くならないのは医者のせい、薬のせい
こんにちは、
精神科医の諸藤えみりです。
わたしは
外来で症状に合わせて
薬を処方します。
患者さんたちの経過を追うと
薬が効く人と
効かない人がいることに
気づきました。
その差は何か。
「薬がすべてを解決してくれる。」
と、思っているかどうかです。
たとえば
困っている症状があります。
「ちょっとでいいから
楽になりたい、
薬が効いてほしい。」
の気持ちで内服します。
この場合、
少しでも効果がでると
「効いた!!」「良かった!!」
となります。
反対に
「薬さえ飲めば何とかなる。」
「すべてを解決してくれる。」
と、思っている場合。
つまり
処方への期待が高い場合ですね。
内服し効果があるとします。
しかし
本人の求める回復ではない場合、
期待値まで届いていないので
「薬を飲んでも
ぜんぜん効果がないじゃないか。」
と、なります。
この場合
期待値と薬の効果が
乖離(かいり)しています。
差ができてしまうのです。
治療への期待を
下げることができない場合、
この差を
「薬が悪い。」
「医者が悪い。」
と人のせいにします。
「わたしは悪くない。周りが悪い。」
になると
治療は停滞してしまいます。
じゃあどうするのか。
「あなたが私を治して。」
をやめる。
期待と薬の効果の差を
自分で埋めるのです。
考え方を改めたり、
生活習慣を見直したりします。
規則正しい生活を送っているか、
食事を摂っているか、
運動をしているか、
など、自分でもできることはあります。
外来はわたしから患者さんへの
一方方向ではなく、
一緒に作り上げるものです。
お互いに交流し回復を目指す。
二人三脚のイメージ。
おんぶやだっこではありません。
薬やわたしは
いずれ自分1人で
歩けるようになるまでの
サポート役です。
他人任せにしないことで
治療が前に進みます。
病気を治すのはわたしや薬では
ありません。
あなたです。
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