ギャルが怖い



こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです。



わたしの勤める病院に

10代の女の子が入院しました。

(特定されないよう配慮しています。)



男の人が苦手だそうです。


わたしは主治医ではないのですが、

「その子をサポートしてください。」

と上級医から言われました。



その子は耳に

ピアスが8個空いていて

服装も派手です。

いわゆるギャルです。



わたしは

その子に苦手意識がありました。

怖いのです。


嫌なことをされたわけではない。

でも、怖い。

関わりたくない。



「主治医じゃないし。」

と、自分に言い訳し、

必要最低限の関わりしか

できませんでした。



なんで外見だけで判断して

避けるんだろう。


自分の中を探りました。





思い当たったのは

中学生のころの話です。



わたしの地元の中学校は

完全なるカースト制でした。



わたしは底辺をうろつき、

上位カースト組に

ビクビク怯える日々。



上位カースト組は

派手な女の子たちでした。

ギャルです。

(今もギャルって言うのかな?)



ギャルたちに目をつけられると

・体育館の裏に呼び出される。

・上履きがなくなる。


マンガの世界のようなことが

起きる。



怖くて

目立たないよう

息を殺して生活していました。



派手な女の子のグループは、

表でニコニコしていても

裏ではお互いの悪口を言っている。



表と裏で顔が違う。

裏で何を言っているのか

分からない。

ギャルは信用できない。



幸い、

今の友人たちは

心優しい方ばかりです。



でも、

わたしの世界にギャルが現れると

身がすくむ。

遠い過去に葬ったはずの記憶が蘇る。





先日、その子から

「先生、少しお話できませんか?

一度お話してみたいと

思っていました。」

と、言われました。



わたしはギョッとしたものの、

時間を取り

腰をすえて話をしました。



怖くなかったです。

優しくて、繊細な子でした。



わたしは反省しました。

わたしが中学生だったら

怖いかもしれないけど、

今の私は大人。



中学生のわたしと

大人のわたしでは視点がぜんぜん違う。

怖がる必要なんてない。



そう思うと、

未消化だった感情が

昇華された気がしました。



もしまた似たような女の子が

カウンセリングルームや

病棟に現れたら、

今度こそ普通に接する。



過去の感情を引きずらない。





精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

精神科医のわたしが日々の思ったこと、感じたことを書いています。

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