​家族はジグソーパズル



こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです。



今日は

「不安に優先順位をつけ、

どうでもいいことはほっておく。

起きてから考える。」

という話をします。


外来に

高校生がお母さんと一緒に

来られています。

(特定されないよう配慮しています。)



この日はお母さんのみでした。

前日に

取っ組み合いの喧嘩をしたそう。


「今日は病院に行かない!

病院に行っても意味ない!」

と、娘さんは言ったようです。



この娘さん、

トラブルが絶えない。

学校の友人とお金関係で揉める。

バイト先でお客さんと揉める。


親が謝罪に行くこともある。




お母さんは言います。


「あの子はこれまで

散々やらかしてきました。

信用できません。


人様に迷惑をかけることがあったら

どうしようと思います。


以前お金関係で

トラブルがあったので、

お金遣いはチェックしています。


ほかにも、

頼んだ家事をやらない。

スマホや門限の時間を守らない。

嘘をついて学校に行かない。

忘れ物が多い。


目が離せないんです。

イライラしてぶつかります。」



お母さんと娘さんが

取っ組み合いの喧嘩をしても、

父親は我関せず。

娘さんへのフォローもなし。


お母さんは

「1人で何とかしなければ」

と、抱え込んでいました。



家族は距離が近いので

どうしても嫌なところが目につき、

遠慮なく

感情をぶつけてしまいます。





わたしは言います。


「娘さんに対して気になること、

たくさんたくさんあると思います。


ぜんぶ紙に書き出してください。

優先順位をつけましょう。


3つにしましょうか。

心配なこと上位3つを決めたら、

それ以外はほっとく。


お金の管理は大事だと思いますよ。

でも、

スマホの時間や忘れ物は

ほっときましょうよ。


多分、

お母さんは

10段階中10のレベルで

娘さんを見張ってるんですよ。


コントロールしようとするから

娘さんの反発は強い。


5,6くらいまで減ったらいいですね。

お母さん自身のためにも。


それにね、

何か大変なことが起こらないように

見張るのって、

めちゃくちゃ疲れるんですよ。


もし娘さんが

またトラブルを起こしたら、

そのときに

考えたらいいじゃないですか。

頭を下げたらいいじゃないですか。


わたしも主治医として

一緒に頭を下げますよ。」



そう言うと

お母さんは泣いていました。





わたしは続けます。


「娘さんも病院に来たくないなら

来なくてもいいですよ。


無理矢理連れてきても

意味がないので。


自分から

『行きたい。』

とならないと

『連れてこられた。』

になり、治療に乗らない。


娘さんがいなくても、

お母さんはわたしと

お喋りしましょうよ。」




わたしは思春期の親子を

診察するにあたり、

お母さんのケアが

最重要事項だと考えています。


家庭内だけだと

どうしても

視野が狭くなるので

第三者の介入が必要です。


お母さんだけでも

病院に来てほしい。




お母さんが変われば

子供も変わります。


家族はジグソーパズル。

お母さんのピースが変われば

必然的に

子供のピースも変わる。



時間はかかるけれど

必ず変わる。






精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

精神科医のわたしが日々の思ったこと、感じたことを書いています。

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