隠したい自分
こんにちは、
ドクターかよです。
隠したい自分はいますか?
外来で
「あ、この方は
自分を客観視しているな。
自分のことを
よく分かっている方だな。」
という方に出会いました。
今日はこのエピソードを
ご紹介します。
40代男性の方が
初診で外来に現れました。
体重は100 kgを超え、
いかにも
ガテン系!という方です。
奥様と一緒に来院されました。
私は
「あれ?1人じゃないんだ。」
と思いました。
話を聞くと
・今まで好きでたまらなかった
趣味のパチンコを楽しめない。
・食事をおいしいと感じない。
・身体のいたる症状が気になる。
・夜眠れない。
など、
うつ病の症状が出ていました。
奥様は
「普段は高圧的な態度なのに、
最近は気弱になっちゃって。
今日だって
緊張して1人で病院に行けない
って言うから
一緒に来ました。」
と、話されていました。
(この方は恥ずかしそうにしてた笑)
夜眠ることで
これらの症状が改善しないか
経過を追っていたのですが、
なかなか良くなりません。
抗うつ薬の提案をしました。
彼は
「今まで内服したことがないから
抗うつ薬は怖いです。
本当は俺、
臆病者で小心者なんです。
そんな自分が嫌で、
隠したくて、
身体を鍛えました。
上から目線の態度だって
このためです。
自分を大きく見せたいんです。
バカにされたくないんです。
あ、自分、
何言ってんだって感じですよね。
薬1個飲むのも
ビビっちゃって情けないです。」
私は
「この方は正直な方だなぁ。」
と思いました。
そして
自分を客観視している。
自分を客観視するということは
自分を知るということ。
自分を知ることは
成熟に繋がる。
世の中には
自分を大きく見せたいことにも
隠したい自分がいることにも
気づかず
オラオラしている人が
五万といる。
分かってやるのと
分からないでやるのとは
雲泥の差がある。
人はどうしても
自分の弱い部分を隠したい。
心の1番柔らかいところを
言語化して伝えてくれた
彼に感謝を伝える。
「教えてくれて
ありがとうございます。
情けなくなんてないです、
誰しも初めてのことは怖いですよ。
内服に抵抗があって当然です。」
と、私は答えました。
抗うつ薬の効果と副作用を説明し、
最終的には
内服を選ばれました。
少しずつ回復されています。
元気になるに伴い
また威張るようになったと
奥様は笑いながら
話していました。
どんなにカッコつけても
どんなに威張っても
心に弱い部分はある。
自分で
心の弱さを知っておくこと。
認めること。
これが本当の強さだと
思うんですよね。
自分の弱さを
さらけ出せる場所があるのも
いいことです。
強がりたくなったときは
自分を客観視し、
隠したい自分を
見つけてあげてくださいね。
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