ずっとお粥だけ食べちゃダメだよ
こんにちは、
精神科医の諸藤えみりです。
先日アップしたブログを
読んでくださった方から
こんなお声をいただきました。
「えみり先生こんにちは。
ブログを拝読しました。
楽な方へ行っても
一時凌ぎにしかならない
というのは、
復職のタイミングに関わらず
仕事やプライベートででも
言えることですね。
人間、
腹を括らなきゃいけないときが
あるんだなと
考えさせられました。
私はうつ病です。
自分を甘やかして
楽な方向に逃げるのが
うつ病に対処する休息だと
ずっと思っていました。
後悔しています。」
この方の言語化力、
素晴らしいですね。
今日は逃げる逃げない問題を
さらに深掘りしてみます。
まず、
この方が言われる
「自分を甘やかして
楽な方向に逃げること」
が必要なときもあります。
たとえば
①休職の初期です。
体も心もボロボロのときは
会社やストレスの原因から
逃げて休まないといけません。
これでもかと言うくらい
自分を甘やかしてください。
で、回復したら
➁次のステップに進むために
頑張りましょう、
という段階になります。
次のステップとは
復学、復職、転職、バイトを始める、
など
人によって様々です。
自分がどうしたいかを
考えてもらい
私はサポートしています。
(ときにお尻を叩きながら🤣)
先日のブログの方は
➁の段階です。
①から➁へ移行するとき、
人によっては
恐怖や不安が出ます。
なぜなら
休む生活が
当たり前になっているからです。
(詳しくは前回のブログを
ご参照くださいね。)
ここで逃げて
①に逆戻りしてはいけません。
恐怖や不安に負けて
①を選択し続けると
社会復帰が遠のきます。
たとえばです。
うつ病になることを
胃腸炎になったとして
考えてみますね。
胃腸炎なので
食事を摂れません。
お粥を食べて養生します。
(言い換えると
「うつ病なので働けません。
休職し養生します。」
になります。)
胃腸炎がよくなりました。
(「うつ病がよくなりました。」)
これでもう
焼肉なりラーメンなり
食べられそうです。
(「仕事に復帰できそうです。」)
このシナリオで考えると、
うつ病が回復しているのに
社会復帰せず
①の状態でいることは
焼肉やラーメンを食べられるのに
ずっとお粥を食べているのと
同じです。
お粥が必要なときは
お粥を食べる。
でも
健康なのにお粥を食べ続けるのは
不自然です。
今度は偏りが出ます。
元気になったのなら
焼肉でカルビなりロースなり
バンバン食べてもらいたいのが
私の心情です。
人間は社会的動物です。
人と交流することで
喜びを感じます。
一時的に
人と会わず
ストレスがない生活に
避難することもあるでしょう。
しかし、
ずっと続けると
最後に待っているのは孤独です。
「もう社会に戻りたくない!!
一生お粥でいい!!
孤独でいい!!」
と言う人もいるかもしれません。
それでも私は
「本当に?」
と聞きます。
孤独な最期を迎える方を
診療で見ているからです。
「本当に孤独でいいの?」
私はあなたの味方だから
ダメならまた考えればいいから
「迎えてくれる環境があるのであれば
逃げずに戻ろうよ。」
と伝えています。
そしてもう一つのパターン。
迎えてくれる環境がない場合です。
休んで回復したのならば
・新しい居場所を見つける。
・自分で作る。
この努力を
忘れないでほしいのです。
短時間でいいから
バイトを始めてみるのも
素晴らしいです。
バイト先の人間関係が良くて
症状が改善した人もいます。
人と出会い
良好な関係性を築けると
安心感を得られます。
そして
1度や2度挑戦して
「やっぱりダメだった。」
と、すぐに
諦めてほしくもないです。
休みながらでもいい。
ゆっくりでもいい。
また立ち上がってほしい。
人生を放棄してほしくないと
私は思うのです。
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