世界征服者



こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです。


外来での一コマをご紹介します。

「怒りと人間関係」です。




外来で患者さんから

相談されました。


「怒りとの

付き合い方が分かりません。

溜めに溜めて、

爆発してしまいます。

人間関係がおかしくなります。」

と言われます。



怒りを出すことは大切です。

怒りを体に閉じ込めると

腐敗するからです。



じゃあ、

相手にぶつけたらいいのかと

言ったらそうではありません。



わたしは怒りを感じたら

紙と鉛筆を準備します。

感情を書き殴ります。


雑な字で

思うがまま書きます。


スッキリするまで

書いて書いて書き殴っていくと、

やがて落ち着きます。

本当の気持ちに辿り着きます。



怒りの下には悲しみがあります。

「自分を大切に

扱ってもらえなかった」

という気持ちや、

「分かってほしい」

の気持ちを見つけると

わたしの怒りを出す工程は終了です。



怒りを出し尽くす。

方法は何でもいいです。

身体を動かして発散したり、

新聞を丸めてブンブンしたりw


これが第一段階です。





第二段階です。

冷静になったら

わたしは相手に伝えています。


伝えなくてもいいですけど、

今後も関係性を維持する人には

伝えます。


「こうこうされて悲しかったから

やめてほしい。」

と言います。


これで終わりです。

伝えるだけ。



こちらの要望を伝えても

相手は変わらないかもしれません。


変わるかどうかは

相手が決めることだからです。


態度を改めてもらえないのであれば

離れます。




この方は

「伝えて終わりができないんです。

諦められません。

何としてでも

わたしの言うことを

聞いてほしいんです。」

と言われます。



なぜ終わりにできないのか。

怒りが根底にあるからです。

怒りが溜まっていると

コントロールしたくなります。



「わたしのことが大切だったら

◯◯してくれて当たり前だよね。」

という、

「わたしが正しい」

を押し付けて

コントロールしようとします。



正しさを

押し付ければ押し付けるほど

相手は反発します。



結果

「どうせ誰も分かってくれない。」

と、また怒るのです。




わたし

「わたしも相手が変わってくれないと

イラッとしますよ。

その感情はなくなりません。

出てきます。


でも、何が何でも

わたしの言うことを聞いてほしいとは

思いません。


『あなたはそうなのですね、

じゃあわたしはこうします。』

で終わり。

相手を変えようとしません。


相手をコントロールするには

世界征服者にならないと

無理だと思います。

そのくらい難しいってことを

知っておいても

いいかもしれませんね。


〇〇さんが今やるべきことは

自分に合った

怒りを出す方法を

見つけることですね。


人間関係を考える前に、

怒りの出し方を考えましょう。

まずは自分からです。


怒りを出せるようになると

コントロールしたい欲も

収まってくると思いますよ。」





相手をコントロールしたいのは

怒りが根底にあるから。



自分の怒りに耳を傾ける。

出す。

出す。

出す。


繰り返すうちに

相手との間に

境界線が引けるようになります。




世界征服者になんて

ならなくていい。

落ち着いて話をするところから

始めましょう。




精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

精神科医のわたしが日々の思ったこと、感じたことを書いています。

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