決して手を離してはいけない
こんにちは、
精神科医の諸藤えみりです。
アメーバオウンドから
noteにブログを移行していて、
こちらを
更新できておらずすみません。
(文章を直したりすると
結構時間がかかるんです😭)
今日は
外来で患者さんのガッツに
「お、おぉーーーーー?!?!?!」
と、スタンディングオベーションを
送った話があるので
シェアします。
自分にとって
何が1番大切かを知ることが、
回復へのキーですよって話です。
外来に専業主婦の方が
うつ病で通院されています。
(特定されないよう配慮しています。)
家事、育児ともに
いっぱいいっぱいの状況でしたが、
最近の調子はまずまずです。
この方、
最近アルバイトを始めたと
言われます。
元々この方は正社員を
希望されていました。
一日中家にいると
気が滅入るので、
働きたいと言われます。
主治医の私は
まだそこまでは働けないと判断し、
単発の仕事か
せめてパートにしてくださいと
お願いしていました。
私の話を聞いて
パートにされたようです。
ただ、
なんだか疲れているように見えます。
この方は言われます。
「家を出て働くと
気分転換になるんです。
『私も社会の一員だ』
と、充実感を得られます。
でも、とても疲れるんです。
この前は疲れて
子供に冷たくしてしまいました。
夫にも迷惑をかけてしまいました。
それでも
病気に負けないように、
普通になれるように、
働いています。」
私
「なるほど。
今、どれだけご自身が動けるか、
働けるかを
試行錯誤しながら
探っているのですね。
自分のキャパを知ることは
大切ですもんね。
もし、
疲れてどうしようもないときは
どうするのですか?
お休みできるのですか?」
この方は言います。
「採用されるときに
『人がいないから休まないでね。』
と言われてるんです。
プレッシャーです。
うつ病ということも伝えていません。
せっかく雇ってもらえたので
辞めたくないんです。」
なるほどなぁと私はしばし考え、
こう聞きました。
「◯◯さんにとってお仕事って
大切じゃないですか。」
この方「はい!!大事です!!」
私
「でも、お仕事よりも
家族が大切ですよね?
当たり前だけど、
家族が1番大切で仕事は2番目。
今、◯◯さんは、
2番目に大切な仕事が
1番大切な家族を
圧迫している状況です。
1番大切な家族を守るために、
2番目に大切な仕事の働き方を
変えないといけないと思います。
今の働き方のままだと、
いつかプツンと気持ちが切れて
動けなくなると思います。
太く短くではなく、
細く長く働くのを
まずは目標にしてみては
いかがでしょうか。」
私がこう言うと、
この方は神妙な顔つきになりました。
で、次の外来受診時、
この方は元気な顔で来られました。
「変わらず働いています。
働いているんですけど、
職場に通院していることを
伝えました。
そしたら働く時間を
減らしてもらえたんです。
負担が減って楽になりました。
『事前に言ってくれたら
休んでもいい。』
とまでも言ってくださったんです。
同じ働くにしろ、
『絶対に休めない』ではなく
『いざとなったら休める』なので、
気持ちが楽です。」
と言われるのです。
私は
「えーーーーー?!?!
職場に言ったんですか?!
えーーーー?!?!
よく言いましたね!!!!
えーーーーー?!?!
素晴らしい😭😭😭😭😭」
と5回は言いましたね😂w
だって、
かなり勇気がいったと思います。
(私だったら言えないかもしれない😇)
彼女は言います。
「これで辞めさせられたら
仕方がないと思って言いました。
それでもいいと
思えたんです。
だって私は家族が1番大切だから。」
そうなんです。
自分にとって
何が1番大切かが分かると、
それを守るために
何をしなければいけないかが
分かる。
うつ病の方が薬を飲んで
心も体も
100点満点になればいいけれど、
そうではないケースがほとんど。
その場合、回復するためには
自分を取り巻く環境を
いかに調整するかが
キーになります。
この方も
薬を飲んでいるけれど、
体力は万全の状態ではない。
でも働きたい。
だったら
環境を調整しなければ
行けません。
この方は
自分にピッタリの環境を
ご自身で作られました。
素晴らしいと思います。
あとは治療を続けて
体力も回復できたらいいですね。
自分にとって何が1番大切かを知る。
知ることで
今、自分が何をしなければ
いけないのかが分かる。
見えたのならあとは
その方向に進むだけ。
あなたの1番大切な物から
決して手を離してはいけない。
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