目の前の人を信用する



こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです。



外来をしていると

さまざまな方とお会いします。



患者さんを

「何とかしたい!」

とわたしが思い始めたら、

要注意だと思っています。



なぜなら

それはコントロールであり、

目の前の人を

信用していないからです。





たとえば。

気持ちが落ち込んでいる方が

外来に来られたとします。



患者さんには

すぐに良くなる方と

なかなか良くならない方

がいます。


なかなか良くならない方は

見ていてこちらも苦しいです。

何とかしてあげたいと思います。



しかし、

何とかしようと

躍起になればなるほど

相手は動きません。




考えておかなくてはいけないことは、

なかなか良くならない方の場合


・良くなったら困る

(たとえば、

回復したら働かないといけない。)


など、さまざまな理由が

隠れていることが多いです。


つまり、

良くなることよりも

良くならない方が

メリットが大きい。

だから良くならないのです。



このような場合、

無理やり良くしようと

するのではなく、

「治りたくないんだな。」

「回復したくないんだな。」

と相手を認めてあげることです。



端から見れば

ネガティブな状況かもしれません。

でも、

本人がその状況を選択しています。



こちらが何とかしようとすると、

相手も必死になって抵抗します。


この場合、

『相手が良くなりたい。』

と思えるまで待つのが重要です。

急がない。




そして、

「いずれ良くなりたいと

思ってくれるだろう。」

と、相手を信じる。


見捨てるのではなく、

信用することが大切です。





本人が変わりたくないのに、

こちらが変えようとするのは

コントロールです。



「何とかしたい。」

の気持ちが出てきたら、

わたしはストップ。


「良くなりたいと思ってもらえるには

どうしたらいいか。」

に方向転換しています。



わたし「が」患者さんを

良くするのではありません。


患者さん「が」

自分で自分を回復させるのです。





精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

精神科医のわたしが日々の思ったこと、感じたことを書いています。

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