診察室は懺悔室(告解室)



こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです。



わたしは

診察室は懺悔室(告解室)だと

考えています。



なぜなら

自分の気持ちを吐露することで

救われるからです。





わたしの外来に

アルコール依存症の

男性がいます。

(特定されないよう配慮しています。)



彼には嫉妬妄想がある。

妻が浮気をしていると

思っている。


過去の妻の写真を持ち出し

誰と何をしていたかを

問いただす。




妻の友人に連絡を取り、

妻の証言と相違がないか

聞き出す。


浮気の証拠をあの手この手で探す。




でも、

見つからない。

証拠がないのに妻を疑い続ける。





診察室で彼は

今まで自分がしてきたことを

包み隠さず吐き出す。


わたしは肯定もせず否定もせず

傾聴する。




最後に彼は


「本当は妻を信じたい。

疑うのもつらい。


でも、信じられない。


こんなこと

誰にでも話せない内容だから

話せてよかった。


苦しみを聞いてもらえただけでも

楽になった。」


と言い、帰られました。





この男性以外にも

「今まで誰にも

話したことがなかったんですけど…」

と、躊躇しながら

教えてくれる方はいます。



心の奥底にしまい込んだ気持ちを

そっと渡してくれる。



わたしは受け取るだけ。

ジャッジはいらない。




話し終わると

ほっとしたような、

泣きそうな顔になる。


晴れ晴れとした顔で帰っていく。




話すは放す。


診察室は懺悔室であり、

救いの場でもある。








精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

精神科医のわたしが日々の思ったこと、感じたことを書いています。

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