良くなったり悪くなったり
こんにちは、
精神科医の諸藤えみりです。
3歩進んで2歩下がる。
でも、1歩分は進んでるよ
って話です。
外来に
20代女性の方がいます。
(特定されないよう配慮しています。)
前回来られたときは
「調子がいいです。
穏やかに過ごせる日が増えました。」
と、言われていました。
今日、2週間ぶりに
来てくれました。
彼女は開口一番、
「調子が悪いです。良くないです。」
「しんどくて動けない日が多かった。
前回良かったから
悪くなったら焦る。」
と、言われていました。
よくよく話を聞くと
確かに前回よりは良くない。
でも、
初めて外来に
来られたときよりは断然いい。
全体を見ると良くなっている。
彼女は
前回よりも今回
今回よりも次回
というように、
「ずっと
良くなり続けないといけない」
と思っている。
直線的に回復することを
期待している。
わたしは言いました。
「大丈夫です。
良くなってます。
最初のときを思い出してください。
もっとしんどかったはずです。
ずっと良くなり続ける。
もちろんそれだと嬉しいです。
でも、実際は
良くなったり悪くなったりしながら
回復します。
温かくなったと思ったら
寒くなったり。
そうやって春が来ます。
そんな感じです。
だから焦る必要はないですよ。」
そう言うと
彼女は安心してくれました。
ずっと右肩上がりって難しい。
良くなったり悪くなったり
しながら回復する。
進んだと思ったら
後退するときもある。
それでも、
最初の地点から
前に進んでいたら万々歳。
焦ったときこそ
最初の地点を思い出したいなと
思った出来事でした。
俯瞰して自分を見る。
点ではなく線で見る。
視点を変えると
見えていなかったものが
見えてきます。
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