日本人女性の鉄摂取の現状



こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです。



昨日の続きです。


なぜ鉄分が大切なのかを

説明しました。



わたしたちの鉄分摂取の状況です。


令和元年国民健康・栄養調査報告

によると、

日本人の平均的な鉄分の摂取量は

•15~19歳の女性で7.0 mg

•20~29歳の女性で6.2 mg

•30~39歳の女性で6.4 mg

•40〜49歳の女性で6.7 mg

です。



日本人成人(20~49歳)が

1日の食事から鉄を摂取する量は、

・月経のある女性では10.5mg

(月経のない女性:6.5mg)

が推奨されています。


(厚生労働省

「日本人の食事摂取基準」

策定検討会

「日本人の食事摂取基準(2020年版))



月経があると考えると、

摂取量が不足していることが

分かります。




鉄は

毎日約1 mg消費されています。

月経だとさらにです。


貧血を予防するためには

毎日失われる鉄を

食事から摂ることが重要です。



食品中に含まれる鉄には

「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」

があります。



ヘム鉄は

レバーや赤肉、赤身の魚などに

多く含まれています。



非ヘム鉄は

野菜(ほうれん草、小松菜)や

卵、大豆

などに多く含まれています。



(「貧血と言われたら」MSD株式会社

パンフレットより抜粋)



消化管からの吸収率は、

ヘム鉄は非ヘム鉄の5~6倍高いです。

(ヘム鉄の吸収は15~25 %

非ヘム鉄は2~5 %)

J.D.Cook et al.:

Blackwell Scientific Publication,London (1979)


※「貧血にはほうれん草!」

のイメージがありますが、

非ヘム鉄なので吸収は低いです。



また、

非ヘム鉄は吸収時の代謝の関係で

「胃がむかむかする。」

と、訴える方もいます。



そのような場合は

ビタミンCを一緒に摂ると

吸収が良くなります。




吸収の高いヘム鉄が

豊富な食品を紹介しますね。

(100g当たりの含有量)


・豚レバー(生) 13.0 mg

・鳥レバー(生) 9.0 mg

・赤貝(生) 5.0 mg

・牛レバー(生) 4.0 mg

・牛肉(生・赤身) 2.8 mg

・砂肝(生) 2.5 mg

・かつお(生) 1.9 mg

・まぐろ(生・赤身) 1.8 mg など

日本食品標準成分表2020年度版



わたしは焼き鳥で

低脂質の肝や砂ずりを

よく食べてます。




「そんなこと言われても

レバーなんて食べれないよ。」

の場合もあると思います。


まずは食べられる鉄分を多く含む

食事を摂ってください。



食事だけでは改善しない場合は

鉄剤やサプリメントも

必要になることがあります。


健康診断の血液検査は

受けてほしいです。




最後に、

鉄は体にとって大切ですが

摂りすぎもよくありません。



摂りすぎると

便秘や胃の不快感、

亜鉛の吸収阻害、鉄沈着などが

起こります。



ただ、

15歳以上の女性の

鉄の1日の耐容上限量は

40 mgです。



前に提示した

平均的な鉄分摂取量(6~7 mg/日)

を考えると、

食事由来で鉄過剰になることは

ほぼなさそうです。


Wessling-Resnick M. et al.,(2014)



(ただし高容量の

サプリメントや鉄剤を内服

している場合は注意!)





体と心は繋がっています。

体は食事からできています。



もし

・気持ちが沈む

・体がだるい

という方がいらっしゃったら、

鉄分不足も

考えてみてくださいね。




精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

精神科医のわたしが日々の思ったこと、感じたことを書いています。

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