お互いの「当たり前」のかけ違い



こんにちは、

精神科医の諸藤えみりです。



お互いの

「当たり前」が異なるがゆえに

すれ違ってしまう。


今日はそんなお話です。




病棟で患者さんに

話しかけられました。

主治医は別の先生です。



「ちょっとモヤモヤするので

話を聞いてください。


わたしは以前から

胸が苦しい症状があります。

入院する前からありました。


症状を言っても主治医の先生は

『分かりました。』

しか言ってくれないんです。


先日主治医の先生に

何か薬を欲しいと

お願いしました。


答えは

『もうすでに内服している。』

でした。


わたしはすでに飲んでいるなんて

知りませんでした。


・自分が何の薬を飲んでいるのか

・なぜこの症状が出ているのか


これって毎回わたしが

聞かなくてはいけないのですか?


何で

教えてくれないんでしょうか。


普通教えてくれるんじゃ

ないのですか?」





わたしはこの訴えを聞いて

なるほど

と、思いました。



内服薬や症状について

説明を求める患者さんは

少ないです。


主治医の先生は

「説明しないのが当たり前。」

となっているのかもしれません。



でも、

この患者さんは

「説明してくれるのが当たり前」。


当たり前だと思っていることを

してくれないので

モヤモヤします。




わたしは言います。


「〇〇さんのように、

自分が内服してる薬や症状について

説明を求める方は少ないです。


主治医の先生は

説明しないのが

当たり前なのかもしれません。


でも、

〇〇さんは

説明してくれるのが当たり前

だと思っている。


当たり前のかけ違いだと

わたしは思うんですよ。


主治医の先生に

『説明してください。』

とお願いしたら

快く教えてくれるのではないですか?


主治医の先生も悪気はないんです。

何か聞きたいことがあれば

聞いたらいいと思いますよ。」




相談者さんは


「ほかの方は自分の薬や症状が

気にならないんですか?

知らなかった…


なるほど、

お互いの当たり前が

異なるのですね。


そういえば以前、

質問したら

嫌な顔せずに教えてくれました。


これからは

何かあったら聞くようにします。


スッキリしました。」


と、言ってくれました。





自分にとっての当たり前と

他人にとっての当たり前は

違います。


分からないと

すれ違ってしまいます。



もし、

「これってどうなの?」

という出来事があったとき、

第三者に客観的な意見を

もらうのもいいですね。





この方は

分からないことを

聞くようにしたみたいです。


主治医の先生は

丁寧に教えてくれる

とのことでした。



自分も相手も悪気はない。



お互いの当たり前を知り、

コミュニケーションを

取りたいですね。





精神科医 諸藤(モロフジ)えみりの心のレッスン

精神科医のわたしが日々の思ったこと、感じたことを書いています。

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