自分と向き合わなければ変われないと思ったんです
こんにちは、
精神科医の諸藤えみりです。
外来で高校生の方が
伝えてくれた言葉があります。
あまりにも
カッコ良かったので
シェアします。
(特定されないよう配慮しています。)
この方、
通院を始めた頃は不安が強く、
戸締りや蛇口の締め忘れがないかを
ずっと気にしていました。
不潔恐怖や
特定の数字のこだわりもあり、
苦しい状況が続いていました。
薬物調整で
徐々に不安は落ち着き、
登校できるようになりました。
この方が外来で
緊張しながら話してくれました。
「これまでは
不安で不安でたまらなかった。
でも、
何が不安なのか分からなかった。
考えてみたら、
自分はつかなくていいときに
嘘をつく。
嘘をついたら不安になることが
分かった。
なんで嘘をついてしまうのかは
分からない。
嘘をつく自分と向き合いたい。
自分の根源と向き合わなければ
不安はなくならない。
向き合わなければ
変われないと思った。」
この言葉を聞いて、
「めちゃくちゃカッコいいな?!」
と、わたしは思いました。
不安が強い人は、
何度も戸締りをしたり
手を洗ったりすることで
不安を解消しようとします。
しかし、
それは一時凌ぎで
根本的な解決にはなりません。
この方は
自分で不安の元凶を見つけ、
向き合おうとしています。
内観する姿勢が素晴らしい。
次回の外来までに
・嘘の内容
・どんなシチュエーションで
嘘をついてしまうのか
を考えてもらうことにしました。
この方は
「分かりました。やってみます。」
と言い、帰られました。
その背中の逞しいこと。
自分の人生から逃げない強さ
を感じました。
見たくないものに向き合う。
それは
嫌な自分の一面と
対峙することかもしれません。
この方は逃げずに立ち向い、
「自分への信頼、安心感」
を得ようとしているんだなと
思いました。
苦悩しながらも
必死に生きる姿は美しいです。
苦悩することは悪いことではない。
葛藤が新たな自分に
導いてくれる。
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