他人から見たら小っちゃい、でも、本人にとったら一大事
こんにちは、
精神科医の諸藤えみりです。
他人から見ればどうってことがない。
でも、
本人にとっては一大事。
今日はそんな話をします。
友人がこんなことを言っていました。
友人が大学生だったとき、
うつ病で同級生が5人ほど
休学したそうです。
友人の大学は偏差値も高く
知名度もあります。
多分、
休学した方たちは
高校生のとき優等生だった。
必死に勉強して
周りからチヤホヤされていた。
でも、いざ大学に入学すると
自分は到底及ばない
優秀な同級生がゴロゴロいる。
心が折れたのでしょうね。
友人は
「勉強ができないくらいで
なんでうつ病になるのかな?
勉強ができないなんて
小さいことじゃん。」
と、言います。
他人から見たら
ささいなことかもしれません。
でも、
本人にとっては一大事なのです。
心が決壊する。
わたしも過去に休職しました。
今は社会復帰し働いています。
しかし、
一度の挫折で
起き上がれなくなる人がいます。
人生を諦めてしまう。
わたしの外来にも
人生に一度つまずいて
転んだだけなのに、
ずっとうずくまっている人がいます。
お恥ずかしい話なのですが、
わたしは
「この人は
いつまでそうしているのだろう。
わたしが復職できたんだから、
この人だってできるはず。」
と思っていました。
でも、違う。
わたしはたまたま
医師というカードを持っていた。
家族がいた。
貯金もあった。
恵まれた環境の中での挫折だった。
もしわたしが
何も持っていなかったら?
家族も仕事もお金もない。
この状況での挫折だったら
人生に立ち向かえないかもしれない。
諦めるかもしれない。
「誰にでもできる。」
だなんて、
わたしの傲慢さが恥ずかしい。
厳しい環境にどうすることもできず
うずくまっている方がいる。
もしかしたら
ずっとこのままかもしれない。
それでも
わたしは責めない。
うずくまって
力を蓄えているのかもしれないし、
もしかしたら
立ち上がる直前なのかもしれない。
急かさない。
時が来るのを待つ。
周りから見たら大したことなくても、
本人にとっては
一大事のときがある。
本人にしか分からない苦しみがある。
必死に生きている。
こう思うと
「早く復活したら?」
なんて言えない。
「あなたは今大変なんだね。」
と、寄り添うだけ。
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